2014年6月19日木曜日

三歳児と絵をかいて


三歳児と絵をかいて、というと、まず描く内容を思い浮かべることでしょう。アトリエに通う三歳児は、”アトリエに来ると楽しいな” から始まり、今では ”何をしようかな” という乗りのよさです。何歳から始めたらよいか?《始めます、終わります》の理解できる三歳児ぐらいがいいかな、と思います。
三歳児の目線は、”自分はもう大人と一緒”です。自分もできる。いや、やらねば、みたいな使命感に燃えています。ちょっと新しい筆、スポンジなど見ると、すぐ使ってみたい。意欲は大です。道具を使う人間の本質が芽生え、三歳児の頭脳はフル回転して動き出します。絵具のついた筆を持って絵を描き出すと、面白いというより色に心地よさを感じています。色が混ざると、たいそうな言い方ですが、畏敬の気持ちも加わります。自分の手は、こんなこともできるのだ。いろいろなことが、目・耳からはいってきます。名前も知っています。そこで漫画のヒーローなどが出てきます。画面上では、渦を巻いたような絵具が広がっています。でも三歳児には立派なヒーロー出現です。意識して描いたことには、ほめて拍手です。いつも何かを意識して描いているか、というと、そんなことはありません。色の変化に面白がったり道具を使って描いたことの満足感。不思議の世界に違いありません。対人関係で一番に意識し画面にでるのは、お母さんの顔です。そして大概、にこにこ顔です。子供にとって一番大切なものにちがいありません。きれいな形にならなくても、目・口はにこにこがいいのです。本心でしょう。好きなもの、大事なもの、いっぱい出てきます。出てくることは、いいことです。楽しいと、たくさんの色がでてきます。疲れてくると、色も紫のようにはっきりしない一色になります。色を選ぶ気力と体力がなくなってきています。色は心のバロメーターといえます。そんなときは、無理しないで、目線を変えて興味の起こりそうなものを与えてみます。例えば、手で触ってごわごわしたもの、など画面の上で違った表現のできるもの、引っ付けたり型押ししたり、描くだけでなくこする・穴をあける・ひっかく・やぶく、なども面白いことかもしれません。
形が描けることで絵が上手、形が描けないので絵が描けない、というお母さんの話を聞いたことがありますが、それは、大人にもいえることですが、形がでてこなくても絵は、描けるのです。反対にいうと、形がなくても絵なんです。こんな何でもないことが大切で、大きくなって絵を描くことが大好きになってくれると思います。描けないというお子さんには、簡単なことから始めて自信をつけてから始めるといいでしょう。

アトリエ・グー よしむら かよこ(2014年5月)

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